私達僧侶は朝一の勤行から声を出してお念仏をお称えさせていただき、夕方の勤行に至るまで常に声を出しています。皆様の御宅に伺った際にも、コロナ禍ではありますが声を出して読経させていただいています。
その際に檀信徒の方に「お坊さんは声が良いですね」と褒めていただけることがあります。他の僧侶の声を聴いても確かにいい声だなと思う僧侶は多いです。
そこで今回は僧侶の声に関して少しお話したいと思います。
先ほどから申し上げている通り、僧侶は声を出して読経をしますので、修行中も当然のように声を出すことになります。その時に指導していただいている先生方からは
「僧侶は維那(最初に発声する僧侶)の声や鐘の音、木魚の音を聞いて作法を行ったり発声をしたりするのだから、修行僧全員に聞こえる声や音を出しなさい」
と言われます。
そこで修業中の副住職は「よし!みんなに届く声を出すぞ!」と意気込むのですが、ともに修行をする仲間達は総勢で百人を超えます。先生方や共にお勤めをしてくださっている方々まで含めるとかなりの数になります。そのすべての人が入堂している本堂はかなりの広さになります。その端から端まで声を届かそうとすると必然的に力いっぱい声を出さなくてはなりません。副住職は一回の勤行で声がガラガラになるくらい枯れてしまいました。しかし修行は一日では終わりません。その後も何日も続きます。ガラガラになり少し戻ったかなと思うとまたガラガラになり修業中はずっとその繰り返しでした。しかし、その過程で声がガラガラになりにくい声の出し方が分かるようになってきます。さらに何度もガラガラになったので喉も強くなっていきます。そうして修業をすることで今の皆様に「良い声」と褒めていただける声になりました。
従って、科学的な検証などはしていないので実際のところは分かりませんが、僧侶の声が良いのは修行中にひたすらに喉が枯れても声を出し続けた結果なのかなと思います。
皆様も良い声になりたければ僧侶の修業をしてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、極まれに「お坊さんは良い声だから歌もうまそうだね。今度カラオケで歌ってみてくださいよ」と言われる御檀家様もいらっしゃいますが、副住職に関しては声を出す練習はしましたが、リズム感や音程などが分からないので歌を歌うのは下手なのをご承知ください。
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