私達は浄土宗の僧侶として活動していますし、先日の研修会などでも学習していますので、仏教についてはなんでも知っている。そう思われている方も少なくないのではないでしょうか。確かに法然上人の浄土宗の教え、お釈迦様の仏教の教えなどたくさん学んでまいりましたが、実は知らない事、分からないこともたくさんあります。その知らない事、分からない事を研究されている方も大勢いらっしゃいます。今回はその研究に関してのお話をしていきたいとも思います。
まず仏教はどこで始まったのかは檀信徒の皆様なら御存知かと思います。現在の研究ではインドとネパールの国境近辺においてお釈迦様による仏教の教えが始まったと言われています。はるか遠くインドで起こった仏教が長い時間をかけ伝来し、はるか東の日本にまで伝わり現在まで残っているのはとてもありがたいことだなと思います。
では先ほど「はるか東」と言いましたが、果たしてインドより西に仏教は伝来していないのでしょうか?
実は西にも仏教は伝来しています。しかし、現代では伝来した地域において仏教以外の宗教が残っていて仏教が衰退していたりする関係であまり伝来に関する内容が分からなくなっているのです。そのような中でも一部地域において仏塔である「ストゥーパ」などが残されているために伝来していることは間違いないと言われており、具体的な内容を研究されている方が大勢いらっしゃいます。
その研究において重要な手掛かりとなりうる仏像が先月なんとエジプトにおいて発見されました。エジプト南東部にある港湾都市ベレニケにおいてローマ時代初期の神殿を調査中に神殿内において大理石でできたお釈迦様の立像が発見されました。神殿の情報などから確認すると紀元二世紀中頃の像であり、これはインドとエジプトの間で貿易や仏教の伝来が起こっていた証拠として非常に注目を集めています。
紀元二世紀、今から1800年から1900年ほど前に今の私達同様に仏教を信じていた方がいたのだと思うと感慨深いものがありますね。
まだまだ分からない事もたくさんありますが、共に仏様を信じ、お念仏をお称えいたしましょう。
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