十月に入り今年も残すところ三か月を切りました。時が経つのは早いですが、日々を充実して過ごしてまいりましょう。
さて今回は今月読む御法語を御紹介します。
五劫思惟
酬因感果の理を、大慈大悲の御心の内に思惟して、年序そらに積もりて、星霜五劫に及べり。然るに善巧方便を廻らして思惟し給えり。
然も、「我れ別願をもて浄土に居して、薄地底下の衆生を引導すべし。その衆生の業力によりて生まるるといわば、難かるべし。
我れ須く衆生のために永劫の修行を送り、僧祇の苦行を廻らして、万行万善の果徳円満し、自覚覚他の覚行窮満して、その成就せん所の、万徳無漏の一切の功徳をもて、我が名号として、衆生に称えしめん。衆生もし此れに於いて信を致して称念せば、我が願に応えて生まるる事を得べし。」
訳
法蔵菩薩は、修行という原因に応じてその報いが得られるというすじみちを、〔衆生のために〕大慈大悲の御心でお考えになるうち、年数はいつしか積み重なり、歳月は五劫に及びました。それでも巧みな手立てをあれこれとお考えになりました。
その上に、「私は特別の願を立てて浄土に住まいし、仏道修行の低い位にある衆生を導き入れよう。その衆生自身の修行の力で浄土に生まれるという〔すじみち〕であれば、それは難しいだろう。
私は是非とも衆生のために、限りなく長い修行生活を送り、果てしなく長い難行を重ねて、多くの修行と多くの善行の結果としての徳をも円かに満たし、自らも覚り他者をも覚らせるという覚りへの修行をも窮め、そのことで具わった、煩悩のけがれのない無数の功徳を、すべて私の名号にこめて、衆生に称えさせよう。衆生がもしこれを深く信じて称名念仏するならば、私の願に応じて、〔間違いなく〕生まれることができるであろう」〔とお考えになったのです。〕
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